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福岡でもここの海鮮丼が一番という人は多い。
あるビストロのシェフは「有福の海鮮丼はひとつの丼として完成している」と絶賛していた。
サンセルコというお世辞にも賑わっているとは言いがたいビルの地下の奥にあって、ほぼカウンターのみの狭い店はランチタイムともなると長い行列ができている。

昼は味噌汁や小鉢がついて小ぶりの丼にぎっしりと魚が乗って1470円。納得のパフォーマンス。

今日訪れたのはその有福の2号店。
実は知らずに入った。サンセルコからほど近い、高砂の裏路地にあるのだけど申し訳ないがサンセルコの地下にある庶民的な佇まいとはまったく違うオシャレな和食屋風の外観にまったく気づかず小さな看板にさえ注意を払わなかった。

竹や木のぬくもりが心地よい店内には、本店と違ってカウンターにテーブル席、小上がりの個室もある。
聞けば元々和食のお店をそのまま利用したのだそうだ。

カウンターに座って店主の中島さんの顔を観て「あ」となった。あれ、サンセルコの…というわけだ。

現在はサンセルコは昼のみ営業で夜はこっちを開ているそうだ。
中島店長は「たらふくまんま」の出身なのでもちろん腕は保証付き。というか「たらふくまんま」出身って本当にブランドだなあ。しかし。

刺し身を初めいくつか料理を頂いて、間違いない味に満足していたのだけど…やっぱり気になる。
メニューを見ると「有福の海鮮丼 1600円」とあるのだ。

何度もお昼に頂いているのであえて食べる理由はないのだけど、ある種の海鮮丼ハイなのでやっぱり欲してしまうのだった。

ありますね?と言うと「お昼と違って、こちらでは上品に盛ってます」とニヤニヤと店主。
そこから海鮮丼の話になったのだけど、聞いて驚いた。

「今ひとつ誰も信じてないみたいだけど」と前置きをしたうえで、有福の全メニューの中で海鮮丼は原価計算をしていないのだと言うのだ。

聞けば、立地の悪いビルの地下の奥でここにお客さんを呼ぶという気合のメニューで、原価を気にすると中身がしょっぱくなるので。ということらしい。なので内容では絶対に負けないと胸を張る。

いや、価格と魚の量で言えばもっとコスパの高いお店も無くはない。けども食べればわかるのだけど、有福は美味しいのだ。ドコが違うのか。

そんな話をしていたら、やっぱりどうしても食べたくなってオーダーしてしまった。

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上品というか記憶にある小ぶりの丼にやっぱりぎっしり。
汁物や小鉢が無くて1600円と昼よりは少々お高めだけど、クオリティはむしろこちらの方が高そう。

散々食べて飲んだ後なのに、一口食べて思わず唸る。やっぱり美味しい。
ひとつひとつの素材の味が濃くてバランスが良いのか?酢飯でもない、ゴマダレでもない、シンプルに醤油をかけるのだけどやっぱり美味しい。

有福の海鮮丼はそんな中でも2つ明らかな特徴がある。
ひとつは上に乗っかったうずらの卵、もうひとつはネタとご飯の間に、とろろを薄く敷いてある点だ。ちょっとしたことだけども、これでまろやかトロトロな少し麦とろ風の風味となってうまい。

グルメぶってそんなことを中島さんに話しておもいっきり足元をすくわれる。
そういう意味はなかったのだ。

「しょうゆを上からかけるとそのままスッとご飯に落ちてしょっぱくなるでしょう。だからとろろで一旦受け止めて最初から最後までちょうどいい味で食べられるようにしてるんだよね」

結果、山かけ風で美味しいということでもあるらしい。
不勉強な自分はすっごく驚いた。そういうことか!って感じ。

海鮮丼はネタの鮮度が大事。大事だけどそれだけではダメ。
目に見えない仕事があって、それぞれのバランスがあって、細やかな工夫がある。

「お得」なだけじゃない「新鮮」だけじゃない「美味しい」海鮮丼ってそういうことなのかもしれないな。と深く思った。
だから十数杯目の海鮮丼も美味しいんだね。

IMG_0849有福 高砂店

〒810-0011 福岡市中央区高砂2-23-7 ミリオーネシャトウ高砂 1F
092-526-2207
18:00~24:00(L.O.23:30)