- 2009/04/30 木
- 音盤
カバーソングというのに目がない。
音楽好きであれば、オリジナルにあたるべし。カバーなんかにうつつを抜かすヤツあシロートだ。 という空気が昔はあったけれど好きなものはしょうがない。
実際、そういう人は多いらしく、最近は腐るほど(腐ってるのもあるほど)いっぱい出ていていつしか追いかけるのをあきらめたほど。
カバーバージョン好きに火をつけたのは、遠い遠い昔、アズテックカメラというネオアコースティック系デュオの「Jump」 を聞いてから。
浮かれる80年代のテーマソングのように、ハードで明るくひたすら躁病のようなロックを、 アルペジオで情感たっぷりにただ美しくカバーしたその曲は、ハードロックそのものの原曲が実は美しいメロディであったことを再認識させ、 それってハードロック的には女なんか興味ねえよとマッチョを気取っているくせに、 実は無造作なヘアスタイルを作るのに毎朝30分以上鏡の前にいるんですね?的な(長い)最悪の皮肉にも聞こえ、 何重にも驚きを与えてくれたなあ。
一方で敬愛して止まない、ポップスの神様(にして時々クズ)トッドラングレンはアルバム「Faithful」 でビートルズやヤードバーズなどの名曲を、一切いじらず徹底的に完コピをするという(しかもアルバムの半分だけという半端な形で)、 つまらないアレンジや批評性が格好悪いと(言われているような気がする)幾重にもなぞめいたカバーを披露してくれた。カバーは深い。 と、 思う。
こんなすばらしいカバーに出会うと自分はひたすら戸惑ってしまう。
「で、結局好きなの?嫌いなの?」
Hollywood Mon Amourは、80年代、90年代前後の映画のテーマソングをカバーするユニットのアルバム。
その手のカバー集もまた腐るほどあるけれど、その中でも出色の一枚と思った。
びっくりするくらいベッタベタな選曲を全曲、女性ボーカルがフューチャーされ、やたらとおしゃれにカバーしている。
あのロッキー3の「Eye Of The Tiger」が、絶対にがんばれないアンニュイなアレンジが施され、 007のテーマを例によって大仰に歌い上げた「View To Kill」では「チリンチリン」なんて、自転車のベルが鳴る。
特に気に入ったのは「Flashdance」のテーマ。iPodのCMソングでも人気になったYael Naimが、 一向に盛り上げずに風鈴のような歌を聴かせてくれる。ジェニファービールスが、 恐ろしいことに万一今でも元気だとしてもきっと膝を抱えてうずくまってくれるんじゃないだろうか。
このユニットの仕掛け人はマーク・コリン。 80年代のニューウェーブの名曲をボサノバやフレンチポップ調にカバーしまくるNouvelle Vagueのフランスポップ界の黒幕でもある。 こちらではジョイディヴィジョンをボサノバでカバーするようなフザけたことをやってたりして。つまりは同じことを映画でやったのが、 このHollywood Mon Amourのようだ。
この人のやるカバーは高品位だけどあまり戸惑わない。
明らかにハメられているのがわかるから。
とはいえ、深夜に何度も何度もリピートするのはなぜでしょう。
そうね。すっかり骨抜きでただ美しい「だけ」のフラッシュダンスは、黄ばんだ日記をむなしい気持ちで読み返すような気分になるから。
かもしれない。いいです。
![]() |
Hollywood, Mon Amour
|
- Newer: vol.218 「貴族とマック」 Bonchicast
- Older: vol.217 「人生が明るくなるドレス」 Bonchicast
Comments:2
- ちん 2009/05/01 19:20
-
ああ、なるほどセルフカバーってのもいいですねえ。
たしかにたしかに! - 鶴丸 2009/04/30 04:45
-
カバー曲良いですよね♪
カバーともちょっと違うのですが
御本人自身によるアレンジ違いも好きです。
クラプトンのレイラとか・・・
Trackback:0
- TrackBack URL for this entry
- http://tin.hippy.jp/airbonchi/podcast/sb.cgi/941
- Listed below are links to weblogs that reference
- Hollywood, Mon Amour from HOLLOWDAY - Podcast "Bonchicast" ちんのけものみち。
