2004年11月08日

微妙にメロウな日曜の午後

日曜の昼過ぎ。私はヨットハーバーがほど近い公園脇のベンチに座っていたのです。
その近くにあるショッピングセンターの調査というヤツをしていたのです。本来するべき人間があいにく用事があるとかで、急遽ピンチヒッターにかり出されたというわけ。
このベンチは公園を背中に背負うように置いてあって、歩道から50センチほど高い位置にあるのです。

日曜日で休日には絶好の晴天だというのに、この場所は人通りも少なく目の前の4車線のゆったりした道路を行き交う車も少ない。イヤフォンをはめているので目の前の風景は静物画のように見えます。


いや。実に日曜日のショッピングセンターは一人でうろうろするにはちょっと寂しすぎ。とはいえこちらも思ったより人は少なく背中にそびえる巨大な観覧車もいつもは行列ができるというのに、今日はすいているよう。レポートには「ヤバいですぜ」と書かねばならないかもそれない。でも、十分に幸せそうな人は多くてパワーを吸い取られてしまったので、この静かな環境は正直ちょっとありがたかったのです。

私は迎えを待っていたのです。
その本来するべき人間から電話が入って、ようやく用事が終わったとのこと。お詫びに食事でも奢るからそこらで待っててくれ。というのです。

さすがにショッピングセンターの中で待つのは嫌だったので、歩いてちょっとしたところにあるここで待つことにしたのです。

でも、こない。

手元のPDAの中に入れていた音楽をずーっと聴いていたのです。ファウンテン・オブ・ウェインというバンドのやかましくて切ない音楽が耳元でギャンギャンギターを鳴らしていたのですけどアルバム一枚一通り演奏をし終えてまた頭に戻ったあたりで、ヘッドフォンをはずしました。

ひよーん。と風の音だけになりました。快適。

CDプレイヤーを持ってきておけばよかったな。あるいはハードディスクプレイヤーを買うべきかしら。そんな事を思いながら何本目かの煙草に火をつけました。

文庫本くらいもってくればよかった。なんてことを後悔しつつ、しょうがないので新しいハードディスクプレイヤーについて考えました。最近はこのPDAか取材用に安くで購入したボイスレコーダーに音楽を入れて聴くことが多いのです。どちらも使い勝手はよくないのですがかといって大きな不満もないのです。

というか、最近ちょっと音楽に疲れ気味な気もするのです。
それにまつわる権利の奪い合い守りあいとか、誰が泥棒とかどれが音質が悪いとかそういうつまらないことがノイズのように音楽にひっついているようで頭にひっかかって、どうにも楽しめない時があるのです。

でもiPodって音が悪いってほんとかしら。

派手に飾ったピックアップトラックの群れが7台ほど連なって目の前を走って行きます。いずれも窓を全開にして、右翼の街宣車バリの大音響でダンスホールレゲエをならしてドップラー効果を残して走り去って行きます。

ダンスホールはまだ流行っているですか。

正直、私「音質」ってあまり興味がないのです。でも「音質」が良いならそっちの方がよいな。と思うのです。でもそこまで興味はないな。

この前、仕事先の偉い人が自慢のiPodに高いヘッドフォンをつけると音質が格段に良いと、何万もするちいさなヘッドフォンを自慢げに試してみろと勧められました。こっちは打ち合わせ中で邪魔くさかったのですがクライアント様に邪険にするわけにもいかず、ちょっと耳にはめてみたのです。

素晴らしい。
素晴らしい音のようにも聞こえるのですが、大塚愛は別に普通のイヤフォンでもよかろうとも思ったのです。第一音にうるさい人が圧縮されたデジタルオーディオは聴かないのではないのかと思うのです。その時もなんかウンザリした記憶があります。

いつから音楽はややこしくなってしまったのでしょうか。長岡鉄男が自作のアンプを自慢げに雑誌に載せてからでしょうか。いや、オーディオマニアはその昔からいるのですね。きっと。作者の権利まで常日頃配慮しつつ音楽を聴かねばならなくなったのはいつからなのだろう。カセットはどこの家にもあってどれにつっこんでも聞こえた時代の方が豊かな気もしないでもないですねえ。

30分過ぎても迎えは来ず、催促の電話を入れても圏外の様子。帰るに帰れず困ったことです。

こんなことなら、さっさと帰って貯まってるバイト仕事をした方が良かった。とちょっと後悔し始めました。
陽はさっきよりほんの少し傾き始めたような気もします。
この季節の晴天は気持ちが良いのです。油断するとうたた寝しそうな気持ちよさです。

そんな事を考えながら数本目の煙草が終わった頃、なだらかにカーブした歩道の向こうから2台の折りたたみ自転車が見えてきて、かすかに音楽が聞こえてきました。

それは中学生くらいのカップルで二人並んでゆるゆる走ってくるのです。
まったくマナーがなってない。で、音楽というのは2人が歌っているのです。

一人のショートカットの女の子は左手を伸ばしその手の先には携帯電話が握られているのです。どうやら音楽はそこからも聞こえていたよう。それくらい静かなこの場所なのです。

「着うた」なのですね。私の携帯は対応していないのでよく知らないのですけど。曲名はしらないけれどオレンジ・レンジの妙に明るい歌でした。

ゆっくり私の前を通り過ぎやがて去っていきました。

妙に印象に残ったのです。それが。
とても楽しげな表情であったのですね。曇りのない表情で、2人の間にあるのが携帯電話の猛烈に小さなスピーカーから割れ気味の最低の音質のオレンジレンジ。利権まみれの着うたはそれでも素敵に聞こえました。

私の好きな音楽はそういうものだと思いました。
具体的になにがどうよかったのかわからないのですけど。マクドナルドがどんなに不味くてもあの味であの下品な内装でなければならないように。AMで聴いたRCサクセションがどんな良いシステムで今聴いてもあのときほどドキドキしないように。

でもまあ、そんな難しい事を考えたのではなく、ただ単に少しだけ気分がよかったのです。

それにしても迎えは来ない。
しょうがないのであと30分待つことに致します。

次はオレンジレンジのあのCDを買うことを考えて過ごします。それは悪くないですね。

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» 竹内まりや

  • 2004年11月11日 23:16
  • from GEEK

 風邪でぶっ倒れていた月曜日に届いたCDは竹内まりやのUNIVERSITY STREETだった。同年代の人間にはたまらなく懐かしい音源だろう。  まだ山下達郎... [続きを読む]

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