2005年05月17日
とりあえず完璧の人
生活臭の無い家にお邪魔する。
福岡という地方都市でも飛び切りの一等地。住んでいる場所も生活臭が無い。なんたってスーパーも近所にない。 ハッキリ言って不便ではないかと思われる。自営業なので仕事場と生活の場が同じ家としては驚異的にキレイ (そうじゃない所しか見たこと無いので)。
主は気安く招き入れてくれて恐縮しながら上がる。
マンション自体はそれほど超高級というわけではないけれど、その3LDKのマンションには見事に生活臭がない。 まるでどこかのショウルームのよう。
14畳のちょっと変形のリビングは見事に白とベージュで構成されて壁面は大きなベランダへ続くサッシの一面と、 奥のキッチンに続く一角を除いてすべてが収納と白い壁。というか覆い隠されている。フローリングにはチリひとつない。 普通あるだろ隅っこにもこもこしたホコリとか(ないのか)。
嫌みのないこじんまりとしたイタリア製のソファ(これもベージュ) に座って見回せば壁に掛かっている絵のような黒いドレスの女性が立っている写真すらどこぞのカフェのように定規で当てたような正確さでキレイにかけてある。
パオロ・ロベルシなんだよ。写真が趣味だから。知らないよね?
と、はにかむように言われる。案の定知らない。世の中知らない事が多すぎる。
家具とテレビ、コンポ以外コレといったモノが見あたらないのだけどほとんどは壁に隠されていて、その壁の向こうに棚がある。
酒やCD,本棚など現れるがこれもまた見事に統一感があって気持ちよいほど美しく並べられている。
間違ってもポテチや飲みかけのカテキン茶のボトルなどは現れそうにないようだ。
見事に美しい曲線のポットに紅茶を入れられさらにダメ押しをされ、所用を済ませてしばらく無駄話をしていたのだけど、 仕事柄へたな生活環境にもできないというのもあるけれど、どうも几帳面で掃除好きなどと言うところを見ると性格もあるようだ。 なんぼ高級でオシャレでも汚れるモノは汚れるから。と、同時に美しさをキープする苦労もそれなりにあるようだ。そりゃそうだ。
仕事場も覗かせてもらったのだけど、こっちはさらに驚くことに見事にキレイ。
Macもこういう部屋に置くことを想定されているように調和していた。
映画のセットなら手抜きすんなリアルでもなんでもねえよと怒られそうな雰囲気。
机の上には仕事用の備品がきちんとならんでいるがどれもこれもグッドデザイン賞の発表会のよう。 ていうかホントにグッドデザイン賞のもんばっかじゃなかろうか。
人が来るときは必死で掃除するからさあ。
などと、またはにかんで言うがそうは行くまい。これの3倍汚くても0×3というカンジ。
段々イライラしてきてどこかに隠してるのではと思い出し、 もう一部屋の寝室も見せてくれと頼むと快く案内されそのシンプルな美しさに打ちのめされる。 さりげなくBOSEのカッチョいいラジカセがさりげなくあったりして、 ものすごく見なきゃ良かったとか思う。
どこかにないか、食べかけのかっぱえびせんとかエロ本とか奈良のペナントとかっ!ないのである。
大体、こういう時は、んなこと言っても住んでる本人が性格激悪とかブサイクとかだとかいうオチで攻めたい所なのだけど (人間墜ちるとヒガミっぽくなる)どっこい彼は常に謙虚で顔立ちも良く、社交的で性格もしごく良さそうなので困る。
とりあえずトイレに行く途中の洗濯機の上の棚にクリネックスティシュとトイレットペーパーが山積みになっているのを確認してとりあえず自分を無理矢理納得させる (なんでだ)。
完敗したのであった。いるのだ世の中には本来の意味で趣味の良い生活臭のない人というのが。
あきらめて褒めて褒めて褒め倒す。
彼は照れて照れて照れたおす。どこまでも謙虚なのだった。
でも住んでる本人がコレだからさあ。こだわっても悲しいですよね?
なんて困り顔で言われた日にゃあ先読みされたように思えて、ゴメナサイっと謝りそうになる。 ルックスはいいが腹がかなーり危ないカンジであるけれど許容範囲ではないかと心底思う。
そんなこんなでちょっとお邪魔する予定が小一時間も居てしまい、なぜか妙につかれてしまい帰ることにした。 玄関は残念ながら靴までは収納できずシンプルな靴箱があるのだが、そこに最大の弱点をついに発見する。
靴箱の上にエスニック調のランチョンマットみたいなものを敷いてその上に鋼色の仏像の小さいのが乗っていたのだった。 それもエスニック風とかではなくどこかのおみやげ物のようなちゃっちいカンジのヤツが。心でガッツポーズをする。
彼が僕の視線に気づいたようで乾いた笑いをあげる。
母がねえ。おみやげで買ってきて自分で置いていったんですよ。そればっかりはどうしても僕は動かせなくてねえ。
と、困りきったように言う。
聞くんじゃなかったと思った。立ち直れません。
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