2005年05月25日
イヤなんだけどやりたいの。
- tin
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MacフォーマットのMOをいきなり送りつけられて途方にくれる。
やっぱMacもらわないといかんかねー(買うとは死んでも言わない)。
とはいえここん所お店のリストと始終にらめっこをしていて、今にも家出しそうな状況だったのでホクホクと電車にのる。
困ったときのキンコーズ。
しばらく座って久々に触るMacに悪戦苦闘してるといきなり肩を叩かれた。誰だ!
俺の後ろに立つと痛い目に遭うぜ。詳細に言うと今の俺は目がイタいぜ(特に意味はない)。
振り返ると昔、短い間仕事をしていた人だった。そうだったここらはオフィス街で取引先もいっぱいあるんだった。油断していたぜ。
彼は企画屋さんだった。今はフリーなんだそうだ。
「やあやあ。もしかしたらと思って」
という彼は例によって端正かつワイルドな、 そうね高橋克典をもうちょっと小ぶりにしてもうちょっと辛みを抜いたワサビみたいな(それは食えない) ナイスルックスで年輪を経てちょっといい顔になっていた。まず、私なんかをちゃんと覚えていてワザワザ声をかけてくれるなんて。 良い人ではないか。
正直にいうと、私は忘れていた。ええ。 さっぱり思い出せず、じわじわ話をしながら少しづつ思い出した。相変わらずいいかげんさにかけては天下一品の私だ。 ついでに告白すると今だに名前を思い出せない(最低)。
曖昧な記憶と引き合わせると相変わらずオシャレ。 濃くてふかーい色のグリーンのジャケットに高そうな白いシャツをボタンを開きざっくり着て濃いグレーのタイトなパンツに靴はオールデン (かも)。流行じゃないのが素敵。
そういえば思い出した。彼はファッションについてはうるさい男だった。
流行に流されない自分なりのスタイルについて とーとーと語られた事があった(昔はそゆのが多かった)。
なんて思い出しつつ、近況を報告しあい(これが一番ヤ) それで帰るかなと思ったらなかなか帰らないのでちょっと不自然に感じていた。 すると向こうからかわいい感じの女性が近づいてきた。新婚なのだそうだ。彼のアシスタントをしてるらしい。 白いカーデガン風の上モノの下にモスグリーンの凝ったデザインのカットソー、セレブ風のデニムにブランドものっぽいスニーカー。 こっちもモデルさんのようだ。
「へえ。おめでとう」
というと、彼は少し照れて頭に手をやる。
うむ。微笑ましいじゃないか。
と、ちょっとまて。その右手にキラリと光るものはもしや
ゲルマニウムブレスレットじゃないですか?
近年、ゲルマン民族と化した私の目はごまかせない。それは80,000円くらいするシルバー& ゲルマニウムに違いあるまい。
と、指摘すると彼はものすごっくとまどった表情で「や。最近トシっすかねえ」と小声で私に言う。
なぜ小声。
とっさに5000円の安物をくるくるくるっと隠す私 (いじましさ爆発)。
しかし問題はそこではないのです。
「や。さすがちんさん相変わらず鋭いっすねえ」と言いつつ嫁さんに振り返る彼に答えるように笑う彼女の口元を隠す右手に
同じゲルマニウムブレスレットが。
なんと。ゲルマンのペアルック。
走馬燈のようによみがえる記憶(だから死ぬわけじゃなし)。彼は「ペアルック」
を心底憎んでいたのではなかったか。いや。それは私の記憶違いかちがわない(即否定)。しつこくソレ言ってた。「ペアルック着るような大人にはなりたくない」的な(それもどんな決意かとゆー気もしないでもない)。しかもゲルマン。
ああ長い時間が過ぎていることを感じる。思想も信念もまあぶっちゃけてその場の状況で変わるモノ。私もそー。頑なとも思えるファッション感もまた諸行無常。
ま、とりあえず一応、彼を決して忘れているわけではない証拠物件として、ペアルックの件を突っ込んでおいた(最低)。
彼は大変困った様子で「こういうのってさすがに効果優先ですもんねえ」などと、ものすごい苦笑いをして 「一つ失って一つ得たっていうことっすかね」と、まったく意味はわからないけど妙にハラの立つ返しをしてきた。
彼女の用事も済んだみたいでポスターケースを抱えて「じゃあまた電話しますよ」と、笑顔で一言(きっとしない)。 その後ろで彼女が深々とお辞儀をして仲むつまじく去っていったのです。
うらやましい。
うらやましいけど私は見逃さなかった。
キミの靴下の色と彼女の靴下の色もペアなら、お辞儀をした彼女の首にキラリと光るネックレスもペア。二人とも時計はロレックス。
ついでにジャケットと彼女のインナーもグリーンでペアと見た。
でも、それを指摘しなかったのはせめてもの再会の喜びと、若い二人の幸せを祈ってのことと思って欲しい。
本当は被害妄想かもしれないと自分を疑ったせいにせよ。
さりげないのに妙にくどいペアルック。
ああ、愛が欲しいぜ。
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