2005年06月11日

振り回さずにいられない。

調べものをしようと昔から実家に置きっぱなしの物置の中を漁っていると、目的の辞書の間から昔の写真が出てきた。 なんと社会人になったばかりの頃の夜遊び仲間の写真で、そのころの写真は全部処分しちゃったのでたぶん最後の一枚ではなかろーかと。 まあこの調子ならあっちこっちから出てきそうですが。

その写真を見た瞬間あたしゃ震えました。ええ。
キョウちゃんがいるではないかと

キョウちゃんというのは大学の最後の頃からの女友達なんですが、コイツだけにはエラい目に何度も遭ったのです。私だけではない。 周囲の連中みんな一度ならず振り回された経験があるという。なんたって「キョウちゃん」と呼ばれてましたが、 キョウちゃんでもキョウコちゃんでもウキョウさんでも(なんでだよ)ないんです。名字も関係なく。「凶」ちゃんです。ええ。 仲間内でフざけて言ったのを本人が語感を気にって自称しはじめたのですぜ。ちょっと変わった女の子でした。

やあ懐かしい。
本人は決してマガマガしくはないのですけど彼女は忌まわしい欠点がありまして。

人に心配かけないと気が済まない。
という。ハンパじゃあないのです。最初はまだかわいかった。

 

 

たとえば、突然「もう仕事なんかやめて田舎に帰ろうかなあ」とか言ってしょげかえるわけです。そいで帰るまで黙りこくる。 慣れないうちはこれでもうちょっと心配になるではないですか。

翌日、ケロっとして普通に飲んでいる。みたいな。
ああ、立ち直ったなあよかったなあとか思うでしょ。すると、またしばらくすると「私なんてあんまり生きる価値がないのよね」 とか突然凹み出す。周囲は心配したり慰めたりする。すると次会うときはけろっとしている。 これを繰り返します。

驚くほどでもないでしょ。1回2回はいいじゃないですか、これがエンエン続きます何ヶ月でも何年でも続きます。 こち亀よか続きます。

続くとだいたい、ああこういうコなのね。とか思いだし、ちっとやそっとでは周囲が動じなくなる。
彼女は一人で凹んで何事もなく飲みが進み、本人も気配を感じて「なかったコト」にして (これもどうかと思いますが)日々が続くのですが。

ここからがキョウちゃんの醍醐味です。ていうか本領発揮です。

ある日突然、電話がかかってきて涙ながらに現状を訴えて「すべてリセットしたいと思う」とかいいつつ、 途中で電話を切る。みたいな。切るなよ~!

んで翌日飲み場にくる

別の子に「もしも、もしもだよ?私がいなくなったらその時は私のバッグとかは○○ちゃん勝手にもってってね。そうしたいの(超深刻)」

永遠に持ってける機会はないけどな。みたいな。
手を変え品を変えガンガンスケールアップしていくのです。ここらでかなり凶悪の度を増してきましてね。 ひどい時になるとそんな思わせぶりな電話があってなんか煮え切らない終わり方をする。電話を折り返しても出ない。これはもしや! とあちこちに連絡が行き捜索隊みたいな。彼女のマンションもいない。仲間内で大変な心配になる。

で、翌日ケロっとくる。みたいな。実は彼氏んちお泊まりみたいな

段々エスカレートして自殺めいた(決してはっきりとは言わない)事まで言い出す。大丈夫なのです。
ケロっと。ケロケロで必ず間を置かず登場して「なかったコト」になっておるのです。

で、だいたいそこら辺がゴールで以降は無駄な努力を時々するのですが、 反応無いのを確認して他の友達やらグループやらに同じ事を繰り返すという無差別ゲリラみたいな子でもありました。

ばっかじゃなかろかっ!となりますでしょ。ところが本人は謝るけれど「その時はホントにそう思ったからしょうがない」と。 そういうコでした。別に作戦たててる風でもなく、天然でそういうことをやるようでもありました。

なんでしょうね。とにかく構ってもらいたいというか、寂しがり屋というか。
そう言う意味ではいわゆる女の子女の子した、まあ「女々しい」ってこんなんかもしらんぞ。とも子供っぽいという気もいたしましょ。

ただ、この手合いってどんなにスケールアップしても慣れるのです。
まだよく知らない人なんか私らを「あんらは冷酷すぎ」 とか激昂したりしたのもいましたが「冷酷ってなあに?」てなもんで。 こうすることが彼女と長きにわたってつき合う唯一の方法だったのでした。

私らの仲間内には彼女と高校時代からずっと一緒のコがいてですね。彼女などはもう完全に不感症になってまして 「ほっときゃーいいのよっ」とか言うわけです。ま、周囲もあっという間に慣れてしまうのですけどね。

彼女がある日、私らに語った解説によれば、彼女は元々内気なタイプだったので自分が注目浴びないのが寂しい。で、 一度やったら病みつきになって、なおかつ言って反応ないと逆に自分が傷つくので段々波状攻撃のようになるのだ。と。 なるほどーと感心したわけです。ジェットストリームアタックみたいですね(意味なし)。

じゃあ、なぜそんなややこしいのとつきあうかというと、それ以外はきわめてぼんやりして妙に人なつっこいので許せるというか。 人間って実によくバランスがとれたものではないですか。で、だめな人はもう生理的にダメで離れる、 慣れてしまった人はスルーしまくってお友達というのがこのキョウちゃんです。

でも油断するとアパートの新聞受けに「今までどうもありがとう」 とか細く書かれた絵はがき入っていたりいたしましたが、良いお友達でした(コワいっつんだよ)。

結局、都合6年くらいつきあいがあったのですけど、その間彼氏がいたのがたったの2度。彼女ちっこくて大変かわいらしいのですよ。 しかし、まあ推して知るべし。2度目の彼氏は知った人だったのですが、つきあってわずか3ヶ月で、 ゲッソリやせ細り聞けば体重7キロも減ったとか聞いて 「なにも言うな全部わかった」と、彼はベストを尽くしたと健闘を称え、仲間内全員が深いため息をつきました。悪霊のようです。当然、 逃げました。

ある種かわいそうとも思えたりもしましたねえ。不思議と憎めないコでもありましたな。今思えば。

私がどういうひどい目にあったかというと。それは随分昔に一部は書いた記憶もあるのですがもうよろしいではないですか。 思い出すだに忌まわしいわっ!

なんて懐かしく思い出し、彼女は今元気かなと思いをはせました。もう、 すっかり良いおばさんのハズですが子供を育て立派な大人になっているでしょか。

いやそのころのままならば・・・

かわいらしいキョウちゃん、そのまま辞書に挟んでまた物置の奥にしまいましょう。

 

なむなむ。

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